積立投資の選択肢、投信・金・プラチナを並べて比較してみる

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「投資信託の積立はやっているけど、金やプラチナの積立も気になる」

そんな声を最近よく耳にします。僕は秋山真人、元銀行員のマネーライターです。地方銀行で10年間、個人のお客様の資産運用相談に乗ってきました。独立してからは自分自身の投資経験も踏まえて、資産形成に関する情報を発信しています。

銀行員時代、お客様からよく聞かれたのが「結局どれに積み立てればいいの?」という質問でした。投資信託、金、プラチナ。選択肢が増えるのはいいことですが、それぞれの違いが分かりにくいという声は本当に多かった。

この記事では、僕自身が投資信託と純金積立を併用している経験も交えながら、3つの積立投資を正面から比較していきます。並べてみると、それぞれの「得意分野」と「苦手な場面」がはっきり見えてきます。

「コツコツ積み立てる」が資産形成に強い理由

3つの積立を比較する前に、そもそもなぜ「積立」という方法が強いのか、簡単に整理しておきます。

積立投資の最大の武器は「ドルコスト平均法」です。毎月一定額を買い続けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多く購入できます。結果として平均購入単価が平準化され、「高値づかみ」のリスクを抑えられる仕組みです。

たとえば毎月1万円を積み立てるとして、ある月の金価格が1グラム1万円なら1グラム買えます。翌月5,000円に下がれば2グラム買える。逆に2万円に上がった月は0.5グラムしか買えません。3か月の平均購入単価は、一括で買うよりもなだらかになります。この「価格を気にしなくていい」感覚は、実際にやってみると想像以上に楽です。

もう一つ大きいのが、感情に左右されにくいこと。投資で一番怖いのは、値下がりしたときにパニックになって売ってしまうことです。積立なら毎月自動で買い付けが進むので、相場を見て動揺する場面が減ります。

この2つのメリットは投資信託でも金でもプラチナでも同じように効きます。だからこそ、「どの資産を積み立てるか」の選択が大切になってくるわけです。

投資信託の積立、NISAで非課税の王道ルート

基本の仕組み

投資信託の積立は、毎月一定額で投資信託を自動購入し続ける方法です。新NISAのつみたて投資枠を使えば年間120万円まで非課税で投資でき、生涯の非課税保有限度額は1,800万円。金融庁のNISA特設サイトによると、つみたて投資枠の対象商品は金融庁が定めた基準を満たした投資信託に限定されていて、販売手数料ゼロ、信託報酬も低水準に抑えられています。

証券口座さえ開けば月100円からスタートできる会社もあり、始めやすさは3つのなかで群を抜いています。対象商品には信託報酬の上限が設けられていて、たとえば国内資産のインデックス型なら年0.5%以下、海外資産のインデックス型でも年0.75%以下と低コストに抑えられています。商品選びで大きく外す心配は少ないです。

メリットを整理する

投資信託積立の良いところをまとめると、こんな感じです。

  • 運用益に税金がかからない(NISA利用時)
  • 世界中の株式や債券に分散投資できる
  • 販売手数料ゼロ、信託報酬も年0.1〜0.5%程度と低コスト
  • 複利効果で長期的に資産が雪だるま式に膨らむ可能性がある
  • 月100円〜1,000円と、極めて少額から始められる

特に「非課税」のインパクトは大きい。通常、運用益には約20%の税金がかかります。100万円の利益が出た場合、約20万円を税金で持っていかれるか、まるごと手元に残るか。この差は長期になるほど効いてきます。

知っておきたい注意点

一方で、投資信託はあくまで「金融資産」です。

  • 元本保証がない(リーマンショック級の暴落では一時的に大きく値下がりする)
  • 株式中心のファンドは景気後退時に弱い
  • NISA口座の損失は他の口座と損益通算ができない
  • 「何に投資しているか」が実感しにくい商品もある

長期で持てば回復する可能性が高いとはいえ、暴落時に冷静でいられるかどうかは別の話です。金融危機のたびに積立をやめてしまう人を、銀行時代にたくさん見てきました。「頭では分かっているけど、評価額がマイナス30%になったのを見たら怖くなった」という相談は、本当に何度も受けました。

投資信託の積立は、10年、20年と続けてこそ力を発揮します。途中で辞めないための仕組みづくり(余裕資金だけで始める、毎月の金額を無理のない水準に設定する)も大切なポイントです。

純金積立、「実物資産を持つ」という安心感

基本の仕組み

純金積立は、毎月一定額で金(ゴールド)を少しずつ購入していく仕組みです。証券会社や貴金属専門会社で取り扱いがあり、多くは月1,000円からスタートできます。

積み立てた金は、一定量に達すれば金地金(インゴット)として手元に届けてもらうことも可能。「手に取れる資産」を持てるのは、投資信託にはない特徴です。

2026年、金が注目される背景

2026年の金価格は歴史的な高値圏で推移しています。田中貴金属工業の年次金価格推移データによると、2025年のドル建て平均価格は1トロイオンスあたり3,431ドル、国内の平均小売価格は1グラムあたり約17,302円。2026年に入ってからは一時1グラム3万円近くまで上昇する場面もありました。

金が買われている背景には、世界的なインフレ懸念、地政学リスクの高まり、各国の中央銀行による金準備の拡大があります。株や債券と違って、金は「国や企業の信用」に依存しません。この「誰の負債でもない資産」という性質が、先行きの見えにくい時代に支持されています。

純金積立の仕組みやメリットについて動画で学びたい方は、株式会社ゴールドリンクの公式YouTubeチャンネルが参考になります。純金積立の基本的な考え方から具体的なサービスの仕組みまで、初心者にも分かりやすく解説されている動画が揃っています。

知っておきたい注意点

金の積立にもデメリットはあります。

  • 配当や利息が一切出ない(値上がり益でしか利益を得られない)
  • 購入時の手数料が1.65〜3%程度と、投資信託より割高
  • NISAの対象外のため、売却益には税金がかかる
  • 保管料や年会費が発生する会社もある

「金は持っているだけではお金を生まない」。これは事実です。投資信託のように複利で増えていく性質はなく、あくまで「資産を守る」ための選択肢。「増やす」が主目的なら投資信託に軍配が上がります。

ただし、金の売却益は譲渡所得として扱われ、年間50万円の特別控除が受けられます。保有期間が5年を超えると課税対象がさらに半分になるので、長期保有との相性は悪くありません。

もう一つ忘れがちなのが「どこで積み立てるか」で手数料体系がかなり変わること。主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)は購入手数料が1.65%と比較的低めですが、貴金属専門会社では2.5〜3%のところもあります。年会費や保管料の有無も会社によって違うので、始める前に総コストを確認しておくのが鉄則です。

プラチナ積立、割安に見えるが実際どうなのか

基本の仕組み

プラチナ積立も、仕組み自体は純金積立とほぼ同じです。毎月一定額でプラチナを購入し、一定量たまれば現物として引き出せます。

三菱マテリアルGOLDPARKの解説ページによると、人類がこれまでに採掘した金の総量が17〜19万トンであるのに対し、プラチナはわずか7,200トン程度。金のおよそ26分の1しかありません。

その割に価格は金より安い。2024年の年間平均で見ると、金が1グラムあたり約11,700円(税抜)だったのに対し、プラチナは約4,700円(税抜)。「希少なのに安い」という状況は、見方によっては割安とも取れます。

工業需要と水素社会への期待

プラチナが金と大きく違うのは、需要の構造です。

  • 宝飾品用:全体の約25%前後
  • 工業用(自動車触媒・産業用途など):全体の約7割

金は「安全資産」として買われますが、プラチナは「産業素材」としての性格が圧倒的に強い。景気が悪くなると需要が減って価格が下がりやすく、景気が良くなると需要が増えて上がる。株式市場と似た値動きをする場面も多いです。

注目すべきは水素社会への期待。プラチナは燃料電池の触媒に使われるため、水素エネルギーの普及が進めば需要が大きく伸びる可能性があります。実際、2023年・2024年と2年連続でプラチナは供給不足の状態が続いており、需給バランスの面でもポジティブな兆候が見えています。

知っておきたい注意点

ただし、プラチナ投資にはリスクも大きい。

  • ガソリン車からEVへの移行が進めば、自動車触媒の需要が減る
  • 市場規模が金より小さく、値動きが荒い
  • 金のような「安全資産」としての地位は確立されていない
  • 取り扱い会社が限られており、選択肢が少ない

プラチナは「水素社会が本格化すれば大化けするかもしれないが、そうならなければ厳しい」という投資先です。期待値は高いけれど不確実性も高い。ポートフォリオのメインに据えるにはリスクが大きいと僕は考えています。

金のように「とりあえず持っておけば安心」というポジションでもなく、投資信託のように「長期で経済成長の恩恵を受けられる」とも言い切れない。ある意味で3つのなかで一番「目利き力」が問われる投資先です。

3つを並べて比較する

ここまでの内容を一覧表にまとめます。

項目投資信託(NISA)純金積立プラチナ積立
最低投資額月100円〜月1,000円〜月1,000円〜
購入手数料無料(NISA対象)1.65〜3%程度1.65〜3%程度
運用コスト信託報酬 年0.1〜0.5%年会費・保管料あり年会費・保管料あり
税制優遇NISA非課税譲渡所得(50万円控除)譲渡所得(50万円控除)
配当・利息分配金あり(ファンドによる)なしなし
現物受取不可可能可能
リスクの傾向株式市場に連動インフレ・有事に強い景気・産業需要に連動
値動きの大きさ中程度中程度大きい

リスクとリターンの性格が違う

表を見ると分かるように、3つの積立は「性格」がまるで違います。

  • 投資信託は「攻め」の資産。経済が成長すればリターンは大きいが、暴落時のダメージも大きい
  • 金は「守り」の資産。株が下がる場面で逆に上がることが多く、ポートフォリオの安定剤になる
  • プラチナは「期待値の高い変化球」。水素社会の到来次第で化ける可能性があるが、読みにくい

大事なのは、どれか一つに全振りしないこと。僕が銀行時代にお客様へ繰り返しお伝えしていたのは「卵は一つのかごに盛るな」ということです。投資信託だけに積み立てていると、株式市場が暴落したとき全部が一緒に下がります。そこに金が混ざっていれば、株の下落を金の上昇がある程度カバーしてくれる。この「逆の動きをする資産を持つ」という考え方が、分散投資の基本です。

組み合わせで考えるポートフォリオ

3つの積立を組み合わせる場合、目的に応じて配分を変えるのがおすすめです。

  • 資産を積極的に増やしたい人:投資信託70% + 金20% + プラチナ10%
  • 資産をしっかり守りたい人:投資信託50% + 金40% + プラチナ10%
  • バランス重視の人:投資信託60% + 金30% + プラチナ10%

もちろんこれは一つの目安に過ぎません。年齢、収入、すでに持っている資産の内容によって最適な配分は変わります。ただ、「投資信託だけ」「金だけ」という偏った持ち方よりは、混ぜた方が値動きのブレは小さくなります。

僕自身は現在、投資信託の積立をメインにしつつ、月に数千円の純金積立を3年前から続けています。プラチナは今のところ勉強中で、本格参入はもう少し自分の中で整理がついてから。焦る必要はないと思っています。

まとめ

投資信託、金、プラチナ。3つの積立投資を並べてみると、それぞれ得意分野がまるで違うことが分かります。

投資信託はNISAの非課税メリットを活かした「攻め」の積立。金はインフレや有事に強い「守り」の積立。プラチナは水素社会への期待を含んだ「変化球」の積立。

どれが正解というものではなく、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて選ぶ、あるいは組み合わせることが大切です。まずは少額から始めてみて、自分に合う積立スタイルを探してみてください。月1,000円からでも、始めた人と始めなかった人の差は10年後に確実に開いています。

最終更新日 2026年6月12日 by chaco2