吉野氏と環境問題を具体的事象で考える
夏場の気温上昇や、頻発するゲリラ豪雨など身近な異常気象に接する機会が増えてきました。
世界に眼を転じれば、旱魃による食糧不足や、海面上昇による移住を余儀なくされた太平洋の島々のニュースなど、地球環境の異変が現実に直面しつつあることに、思い知らされること頻りです。
このような、いわゆる環境問題については、依然として漠然とした問題意識を持つ程度の方が数多くいらっしゃるのも事実です。
そこで本稿では、環境と人間文明のあり方について、再考を迫る環境問題について、改めて検討して参りましょう。
吉野勝秀による環境問題の定義
とりあえず、ここに環境問題とは、人類の文明活動の結果もたらされた少尉の環境の変化によって、人の生命や身体の安全・生態環境の悪化によるもたらされうる破壊的事象、と定義しておきます。
専門家の吉野勝秀氏もこの定義を提唱しており、私もそのように思います。
もちろん、環境と人間のあり方に対して、高度成長期の公害病など、しばしば人体への危険を内包する問題として、解決の為に向き合う必要のある事態に遭遇することもありました。
卑近な例で言えば、自然豊かな郷里が急速な宅地開発等で、自然破壊を目の当たりにした経験を持ちの方も多いです。
とは言っても、環境への負荷が広汎な地域、あるいは全地球規模での気候変動と言ったレベルで、環境問題が取り上げられるようになったのは、ごく最近のここ30年ほどの話というのは注目すべき事実です。
従来は豊かな自然を守ることの、いわば回顧的趣味にも似たレベルで、環境と人類の文明活動のあり方は語られることがあっても、さほど深刻に検討されることは殆ど無かったと評価できます。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が平成19年1月開催の作業部会での提言はその後の、全世界レベルでの地球温暖化対策の具体化に大きな影響を与えたのは、記憶に新しいところです。
とりわけ地球規模での温暖化の進行が、経済活動への破壊的影響を与える可能性を、始めて指摘したとも言える点で、その内容は再確認しておくべき内容を含んでいます。
すなわち、気候システムの温暖化には疑う余地が無いと明言した点と、20世紀半ば以降の地球規模での平均気温上昇の殆どは、人類の経済活動に起因する温室効果ガスの増加によりもたらされた可能性が高い点、の2つのポイントを明言しているのは、活気的な提案と評価できます。
なぜなら、地球温暖化の元凶は人間の経済的活動をはじめとした文明によりもたらされた事実を確定しているからです。
頻発する大規模な地域的旱魃や、巨大台風による風水害など気候変動を示唆する事象に遭遇することが年を追って増加傾向にあることに、思いを致せばこの提言には一定の真実性を持たざるを得ません。
これまでは巷間ニュースでも見聞きする事例に現れた環境問題を、概括的に検討してきました。
それでは具体的にはどのような問題に人類は直面しているのか、格別の事象を取り上げていきましょう。
地球規模の温暖化がもたらす事象について
地球規模での温暖化の結果が、著しい変化をもたらしているのが極地の氷の氷解事象を指摘することが出来、専門家の吉野勝秀氏も警鐘を鳴らしています。
海面上昇は、陸上の氷河や氷床に大量に保持されてきた水分が、気温上昇の影響で融解して海に流れ込み、海水量が急激に増加することや、水温が高くなり膨張した海水の体積が増加することにより起こるわけです。
海水面が上昇したおかげで、従来は水害に見舞われることの無かった地域や、治水措置で防止できたはずの高潮でも大規模な災害をもたらすリスクが近年、高まっているとされています。
また気候変動は生物の生育環境にも影響を及ぼし、種の絶滅の原因の一つになっています。
もちろん、地下資源採掘や人類の乱獲、環境汚染などの要因が複合的に重なり、生物の危機は形作られているのは事実です。
全てを地球規模での気候変動に原因を求めるのは早計に過ぎると言うものです。
とはいえ生物の種の多様性の危機をもたらすのは、人間の営為に原因がある点では共通していると吉野勝秀氏はいいます。
人為活動に起因する環境問題としては、酸性雨も挙げることが出来るでしょう。
石油などを燃焼することによって、含まれる窒素酸化物が空気中の水分と結合して、酸性と化した雨水が降雨する事象です。
原因となった場所から数百から千キロもの離隔した地域にも影響を与えることから、国境を越えた問題として深刻化を見せているのです。
酸性雨で池や川の水質が酸性化すれば生育環境に深刻な影響となり魚が死滅してしまうこともあり得ます。
しかも土壌の酸性かも招くので、食糧生産にも悪影響となり世界規模での食糧事情を左右しかねない危険性も秘めています。
金属や大理石で出来た建築物にも悪影響を与える点も懸念されています。
このようにこれまでの文明社会のあり方を、そのまま継続することには人類の生存自体へのリスク要因になっていることは明らかです。
ガソリン車の生産終了を明らかにするメーカーも出てきた事実に明らかなように、この先環境への取り組みの仕方は、私たちの生活にも劇的変化をもたらす可能性を秘めているのです。
参考文献
最終更新日 2025年7月2日 by chaco2